「絵を描いてみたい」という気持ちはあるのに、いざ紙の前に立つと手が止まってしまう。そんな経験はありませんか。
描き始めても思ったように線が引けず、「やっぱり自分には才能がないんだ」と感じて筆を置いてしまう。そのループを繰り返している方は、実はとても多いものです。
でも、その「描けない」という感覚は、才能の問題ではありません。多くの場合、始め方の順序や練習の方法を知らないだけで、正しいアプローチで取り組めば誰でも着実に上達できます。
この記事では、絵を描きたいけれど描けないと感じている初心者の方に向けて、つまずく原因から具体的な練習ステップ、継続するためのコツまでをまとめて解説します。
アートの世界に興味を持ち始めたばかりの方でも、今日から一歩を踏み出せるように、できる限り丁寧にお伝えしていきます。
絵を描きたいけど描けない初心者がまず知っておくべき結論
「描けない」のは才能がないからではなく、正しい順序を知らないだけ
絵の上手い人を見て、「あの人には生まれつきの才能がある」と感じることは自然なことです。しかし、美術の現場やギャラリーの裏側を見ると、才能よりも「正しい手順で反復練習してきた時間」のほうがはるかに大きな差を生んでいることが分かります。
「描けない」という感覚のほとんどは、描く順序と練習の方法を知らないことから来ています。
たとえば、いきなり人物の全身を描こうとして崩れてしまい「自分は下手だ」と感じるケースは非常によくあります。でも実際は、顔の比率・体の構造・線の引き方という基礎ステップを踏んでいないだけで、手順通りに進めれば誰でも形になるものです。
絵は料理に似ています。最初から複雑な料理を作ろうとして失敗するのではなく、まず包丁の使い方を覚え、火加減を学び、簡単な一品から仕上げていく。そのプロセスが絵にもそのまま当てはまります。
大人から始めても絵は必ず上達する理由
「子どもの頃から描いていないと遅い」と思っている方は少なくありません。ですが、大人になってから絵を始めることには、子どもにはない明確な強みがあります。
大人は論理的思考力があるため、「なぜこの線が曲がって見えるのか」「なぜ遠くのものは小さく描くのか」という仕組みを理解して練習に活かせます。子どもは感覚で描きますが、大人は理解してから描けるので、上達のプロセスを意識的に設計できるのです。
また、美術の研究でも「意図的な練習(Deliberate Practice)」という概念が注目されています。上達には、何となく繰り返すのではなく、課題を意識しながら取り組む練習が重要だとされており、大人のほうがこの練習に適しているともいえます。
年齢は、スタートの遅れではなく、スタートのスタイルが違うだけです。
まずは「描きたい気持ち」を大切にすることが最短上達への第一歩
技術論に入る前に、ひとつだけ確認しておきたいことがあります。それは、「上手く描かなければ」というプレッシャーを一旦横に置くことです。
描くこと自体を楽しめる状態でないと、練習は苦行になり、続きません。美術館やギャラリーで絵を見て「素敵だな、自分も描いてみたいな」と感じた、あの純粋な気持ちが出発点です。その感覚を持ち続けることが、長く上達し続ける人の共通点でもあります。
上手く描くことが目標ではなく、描くことが楽しくなること。その順番を間違えないようにしましょう。
絵を描きたいけど描けない初心者がつまずく原因
何から始めればいいかわからない
絵を始めようとするとき、最初の壁は「何から手をつければいいか分からない」という状態です。ネットで調べると「デッサンから始めろ」「模写が大事」「デジタルが今は主流」など情報が多すぎて、どれが正解なのか迷ってしまいます。
情報過多による思考停止は、アートの世界でも非常によく起こります。解決策はシンプルで、「最初の一枚を描く」という行動を起こすことです。質より行動。完璧な準備より、まず鉛筆を持つことが大切です。
上手く描けないとすぐに諦めてしまう
描き始めてすぐに「思ったように描けない」「こんなはずじゃなかった」と感じて、やめてしまうパターンも非常に多いです。これは、頭の中のイメージと手の動きにギャップがある「初心者の壁」で、誰もが通る段階です。
このギャップは、手を動かす練習を積み重ねることで必ず縮まっていきます。最初の数枚が上手くないのは当たり前のことで、それを「才能がない証拠」と結びつけないことが重要です。
他人と比べて落ち込んでしまう
SNSには素晴らしい絵が溢れています。描き始めの自分の絵と、何年も練習してきた人の絵を並べて落ち込んでしまう気持ちは理解できます。しかし、SNSに上がっている絵は、その人の「最高傑作」や「完成作」が多く、練習途中の失敗作はほとんど表に出てきません。
見えているものが全てではない、ということを覚えておいてください。比べる対象は他人ではなく、昨日の自分です。
「自分には才能がない」という思い込みを持っている
才能という言葉は、努力を諦める理由として使われやすいものです。しかし、絵の「才能」と呼ばれているものの大部分は、早い時期に始めた練習量と、正しい指導を受けた経験です。
生まれつき線が上手く引ける人はいません。幼い頃から描いてきた人は、単純に練習時間が長いだけです。今からスタートしても、その差は練習によって縮められます。
形が取れない・バランスが崩れるなど技術的な壁にぶつかる
「顔を描くと目の位置がずれる」「体を描くと頭が大きすぎる」という経験は、初心者なら誰でもします。これは技術的な問題であり、練習によって解決できる問題です。
形が取れない原因の多くは、「観察不足」と「基準線(アタリ)を使っていないこと」の2点に集約されます。この2つを意識するだけで、バランスの崩れは大きく改善します。具体的な対処法は後の章で詳しく解説します。
初心者が絵を描き始める前に準備すること
アナログかデジタルか、自分に合った画材・ツールを選ぶ
絵を始めるにあたって最初の選択肢になるのが、アナログ(紙と鉛筆など)かデジタル(タブレットとソフト)かという問題です。それぞれの特徴を整理すると、以下のようになります。
| 比較項目 | アナログ | デジタル |
|---|---|---|
| 初期費用 | 数百円〜数千円 | 1万円〜5万円程度 |
| 失敗したとき | 消しゴムで消せる(限界あり) | 何度でも元に戻せる(Ctrl+Z) |
| 紙の質感・手の感触 | 自然でリアル | 慣れが必要 |
| 線の修正・調整 | 難しい | 簡単 |
| 携帯性 | 高い(どこでも描ける) | 機材が必要 |
| 上達への効果 | 手の力・感覚が鍛えられる | 効率的に多くの技法が試せる |
どちらが優れているかではなく、自分がどんな環境でどんな絵を描きたいかで選ぶのが基本です。人物のイラストやファンアートを描きたい方にはデジタルが向いていることが多く、スケッチや風景画を楽しみたい方にはアナログが入りやすいといえます。
初期費用を抑えたい場合は、アナログからスタートするのが自然です。基本的な線の引き方やバランスの感覚はアナログでも十分に身につきます。デジタルは後から取り入れても遅くはありません。
ただし、失敗を繰り返しながら学ぶことへの心理的ハードルが低いのはデジタルです。「間違えても何度でもやり直せる」という安心感は、初心者にとって大きなメリットになります。
鉛筆・消しゴム・スケッチブックの選び方
アナログで始める場合、最低限用意するのは「鉛筆」「消しゴム」「スケッチブック」の3点です。
鉛筆はHB〜2Bがスケッチの入門として使いやすく、程よい濃さで線の強弱が出しやすいです。消しゴムはプラスチック消しゴム(モノやレーダーなど)が細かい部分まで綺麗に消せてお勧めです。スケッチブックはA5〜A4サイズの普通紙タイプがコスパが良く扱いやすいです。
最初から高価な画材を揃える必要はまったくありません。100均の素材でも十分に練習できます。
デジタルイラストを始めるために必要なもの
デジタルで始める場合に必要なものをまとめると、以下のとおりです。
- ペンタブレット(板タブ)またはiPadなどの液晶タブレット
- お絵描きソフト(CLIP STUDIO PAINT、Procreateなど)
- PCまたはiPad(ソフトが動作する環境)
板タブは画面と手元が別になるため慣れが必要ですが、Wacomのペンタブレット「One」シリーズは1万円前後で購入でき、初心者に選ばれることの多いモデルです。
iPadとProcreateの組み合わせは、直感的に使えてイラストSNSとの相性も良く、近年特に人気が高まっています。ソフトは CLIP STUDIO PAINTが機能の充実度と価格のバランスが良く、プロから初心者まで幅広く使われています。
描きたい絵のジャンル・目標を決める
道具を揃えたら、「何を描きたいのか」を軽く考えておくと練習の方向性が定まります。キャラクターイラスト・風景画・漫画・デッサン・水彩など、絵のジャンルによって練習の優先順位が変わります。
ゆるく好きなジャンルを決めておく程度で構いません。最初から決め込む必要はなく、描いていくうちに自然に方向性が見えてきます。
絵を描きたいけど描けない初心者が取り組むべき最速上達法
まずは模写(トレース)から始めて線の引き方を身につける
模写とは、好きな絵や写真を見ながら同じように描くことです。最初からオリジナルを描こうとするより、模写から始めるほうが技術の習得が早くなります。
模写の目的は「完コピすること」ではなく、「線の流れ・形の取り方・バランスの感覚を手に覚えさせること」です。
見本を見ながら描くことで、「この曲線はこう動かすと綺麗に出る」という感覚が体に蓄積されていきます。最初は好きなアニメのキャラクターや、シンプルな形のイラストを選ぶと取り組みやすいです。
アタリを描くことでバランスの崩れを防ぐ
「アタリ」とは、下描きの前に描く目安線のことです。人物を描く場合なら、頭・胴体・手足の位置を簡単な円や棒で示しておく作業になります。
アタリを使わずにいきなり描き始めると、パーツの位置がずれやすく、後から修正が難しくなります。
アタリを入れることで「顔の中心線はここ」「目の位置はここ」という基準ができ、バランスが格段に安定します。最初は手間に感じるかもしれませんが、この習慣が上達スピードを大きく左右します。
30秒ドローイング・クロッキーで基礎体力をつける
30秒ドローイングとは、タイマーをセットして短時間でポーズや形を素早く描く練習法です。速度を意識することで、細かいところに集中しすぎず、全体の形とバランスをつかむ感覚が養われます。
1日10〜15分、30秒ドローイングを続けると、2〜4週間程度で線の迷いが減り、全体の形を素早くとらえる力が上がります。
クロッキー(素早いスケッチ)と組み合わせると、手を動かすスピードと観察力が同時に鍛えられます。「Line of Action」などの無料サービスを使えばポーズ写真が自動で表示されるので、取り組みやすい環境が作れます。
描き始めた絵は最後まで仕上げる習慣をつける
途中で描くのをやめてしまう癖がつくと、「完成させる力」が育ちません。完成度より完走を意識して、一枚の絵を最後まで仕上げる経験を積み重ねることが大切です。
下手でも完成させた絵は、未完成の絵よりも学びが多いです。仕上げる過程で「ここが難しかった」「次はここを改善したい」という課題が見え、次の練習に活きてきます。
デッサンで立体感・質感・光の表現を学ぶ
デッサンは、物を観察して紙の上に立体的に再現するトレーニングです。「難しそう」「本格的すぎる」と感じる方も多いですが、最初は身近なモチーフ(リンゴ・缶・コップなど)を観察して描くだけで十分です。
デッサンを通じて光の当たり方・影の落ち方・物の立体感を感じ取る目が育ちます。これはキャラクターイラストにも直接活きる力で、「立体的に見える絵」と「平面的な絵」の差はここから来ていることが多いです。
今風の絵柄を研究して自分の絵に取り込む
好きな絵師さんや、SNSで人気のイラストを観察して「どんな線の使い方をしているか」「どこに影を入れているか」を分析するのも有効な練習です。
ただし、特定の作家の絵柄を完全コピーして自分の絵として発表するのはNG行為です。参考にするのは「技法・表現の方向性」であり、個々の線や構図をそのまま使うことは著作権上の問題につながります。技術のエッセンスを吸収して自分流にアレンジすることを心がけましょう。
初心者がよく悩む「描けない」お悩み別解決法
線がきれいに引けない・まっすぐ描けない
きれいな線が引けないのは、手が絵に慣れていないからです。鉛筆や液タブのペンを持つ力の加減、腕の動かし方など、「線を引く動作」そのものを練習する段階です。
まずは、紙に直線・曲線・円を繰り返し描く練習から始めましょう。「線画練習」として毎日5分続けるだけで、数週間後には驚くほど線が安定します。デジタルの場合は手ブレ補正機能を活用しながら感覚をつかむのも有効です。
顔のパーツの位置やバランスが崩れる
顔のバランスが崩れる原因の多くは、「比率の基準を知らないこと」です。一般的な顔の比率として、目は顔の縦の中心付近、耳は目と鼻の間の高さ、口は鼻と顎の中間あたりにくるという基本的な構造があります。
この比率を意識してアタリを取ってから描くと、パーツのズレが大幅に減ります。鏡で自分の顔を観察するのも、比率を理解するうえで効果的な方法です。
手・足など難しいパーツが上手く描けない
手や足は複雑な関節と形を持つため、初心者が最も苦労するパーツの筆頭です。手を描くときは、まず「ミトンのような大まかな形」で全体を取ってから指を描き加えると形が安定しやすくなります。
自分の手を実際に見ながら描く練習を繰り返すことが、最もシンプルかつ効果的な方法です。フィギュアや手のポーズ集を参考にするのもよいでしょう。
影の付け方・色塗りが苦手でリアルに見えない
影が上手く付けられないのは、「光源(光がどこから当たっているか)」を意識できていないことが主な原因です。光源を一点に決めてから、「光の当たる面は明るく・当たらない面は暗く」というシンプルなルールで塗り始めると、立体感が生まれやすくなります。
最初はグレーの濃淡だけで影の練習をすると、色の組み合わせに悩まずに光と影の仕組みを理解できます。
模写は上手くできるのにオリジナルが描けない
模写ができるのにオリジナルが描けない場合、「見て描く力」はあるが「頭の中でイメージを組み立てる力」がまだ育っていない状態です。これは多くの人が経験する中級への壁です。
解決策として有効なのは、模写した絵のパーツを組み替えて描く練習です。たとえば、模写した顔の向きを変えてみる、角度を変えてみるという作業が、「記憶から描く力」を鍛えます。
髪の毛や複雑なポーズ・奥行きのある絵が描けない
髪の毛は「1本1本描く」のではなく「束として面で描く」という意識が重要です。まずシルエットを決めて、その中に流れを表す線を入れるアプローチが上手くいきやすいです。
奥行きのある構図は、パース(透視図法)の基礎を学ぶと理解が深まります。最初は一点透視図法だけ覚えれば、廊下・道・室内などの奥行きが格段に描きやすくなります。
絵が上達するための効果的な練習ステップ
STEP1:直線・曲線・円などの基本線練習から始める
どんな絵も線の集まりです。まず「意図した線を引ける」状態を作ることが土台になります。紙の端から端へ一気に直線を引く練習、さまざまな大きさの円を描く練習を毎日5分取り入れましょう。
STEP2:身近なモチーフを観察してスケッチする
机の上のコップ・食べかけのリンゴ・部屋の窓など、身近にあるものをそのまま観察して描きます。観察して描く習慣が、「見る目」を育てます。1日1つのモチーフを5〜10分でスケッチする習慣を2週間続けると、観察力の向上を実感しやすいです。
STEP3:好きなキャラクターや作品を模写する
好きな絵を模写することで、「上手い絵に共通する線の使い方」が体に入ります。難しい絵より、シンプルで好きな絵を選ぶことがモチベーション維持のコツです。
STEP4:人体の構造・顔の比率・体のバランスを学ぶ
人を描きたい場合、人体の基本構造(骨格・筋肉の流れ・各パーツの比率)を知っておくと、不自然なデッサン崩れが格段に減ります。全部を覚える必要はなく、頭部と上半身の基本比率から始めれば十分です。
STEP5:着彩で明暗・色のバランスを意識した仕上げ練習をする
線画が安定してきたら、色を加える練習に進みます。最初はベタ塗り(単色で塗り分けるだけ)から始め、その後に影色・ハイライトを加えるステップで進めると習得しやすいです。
STEP6:オリジナル作品を一枚仕上げて投稿・共有する
練習を続けた後は、自分のアイデアで一枚を仕上げてみましょう。SNSや創作サービスに投稿することで、「誰かに見せる」緊張感と達成感が生まれ、次のステップへの意欲につながります。
上達のステップを整理すると、以下のように進めるのが自然な流れです。
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| STEP1 | 直線・円などの基本線練習 | 1〜2週間 |
| STEP2 | 身近なモチーフのスケッチ | 2〜4週間 |
| STEP3 | 好きな絵の模写 | 1〜3ヶ月 |
| STEP4 | 人体構造・比率の学習 | 1〜2ヶ月 |
| STEP5 | 着彩・明暗の練習 | 1〜2ヶ月 |
| STEP6 | オリジナル作品の完成・投稿 | 随時 |
この期間はあくまで目安であり、1日の練習量や個人差によって大きく変わります。焦らず自分のペースで進めることが、長く続けるための大前提です。
各ステップで「できた」と感じる瞬間を大切にしながら進むと、モチベーションが自然と維持されます。完璧にこなしてから次に進む必要はなく、「だいたいできるようになってきた」と感じたら次のステップに移るくらいの感覚で問題ありません。
また、STEPを順番通りに進めることにこだわりすぎず、気になるテーマに寄り道しながら進むのも絵の楽しみ方のひとつです。
絵の練習を楽しく継続するためのコツ
毎日15分でいい、小さな習慣を積み重ねる
「毎日2時間練習しなければ」と思うと、時間が取れない日に罪悪感が生まれ、続かなくなります。1日15分で十分です。短い時間でも毎日続けることが、長期的な上達に最も効果的です。
スケッチブックを机の上に出しておく、スマホのお絵描きアプリをすぐ開ける状態にしておくなど、「描くまでの手順を少なくする」工夫が継続のカギになります。
SNSや投稿アプリを活用してモチベーションを維持する
描いた絵をSNSやpixiv・イラストレA(旧Twitterなど)に投稿することで、「見てもらえる」という体験がモチベーションを高めます。うまく描けなくても、「練習中」として投稿している方はたくさんいます。
上手い絵を見て刺激を受けるのも良いですし、同じく練習中の方のアカウントをフォローしてお互いの成長を応援し合う場にするのも、継続の力になります。
描いた絵を人に見せる場を作って成長を実感する
オンラインに限らず、友人や家族に見せるだけでも「誰かに見せる」経験は大切です。人に見せることで、自分では気づかなかった良い部分や課題が見えてきます。
展覧会に参加したり、地域のギャラリーが開催しているワークショップに顔を出したりすることも、アートの世界に親しむきっかけになります。描く楽しさを仲間と共有できる場は、一人で練習するよりも大きな刺激をくれます。
上手くいかない時期は絵から少し離れてインプットに切り替える
スランプや停滞感を感じたときは、無理に描き続けなくても大丈夫です。美術館・ギャラリー・映画・イラスト集などを見て過ごすインプット期間も、創作活動の一部です。
インプットで受け取った「好きな表現・心を動かされた瞬間」が、後から絵に反映されることはよくあります。休んでいるように見えても、感性は育っています。
他人と比べず、過去の自分と比較して成長を確かめる
3ヶ月前・半年前に描いた絵を見返すと、多くの場合に確実な成長が見えます。スケッチブックや保存したファイルを残しておく習慣は、自分の成長を可視化する最高の方法です。
自分の過去作を見て「あの頃よりずいぶん変わったな」と感じる瞬間が、練習を続けてきた自分へのご褒美になります。他人との比較では得られない、深い自己肯定感が生まれます。
初心者におすすめの練習ツール・アプリ・学習サービス
無料で使えるお絵描き練習アプリ・講座サービス
お金をかけずに始められる練習ツールは数多くあります。代表的なものを以下に整理します。
| サービス名 | 特徴 | 費用 |
|---|---|---|
| ibisPaint X | スマホ・タブレット向けお絵描きアプリ。機能が充実 | 基本無料 |
| Procreate | iPad専用。直感的操作で人気が高い | 買い切り約1,500円 |
| CLIP STUDIO PAINT | PCとiPad対応。漫画・イラスト両対応の高機能ソフト | 月額・買い切り選択可 |
| Line of Action | ポーズ・動物・風景の参考写真をタイマーで表示する練習サービス | 無料 |
| YouTube(絵の解説チャンネル) | プロの描き方動画が無料で見られる | 無料 |
ibisPaintはスマホで手軽に始められるため、道具を揃える前に「デジタルの感覚を試してみたい」という場合に最適です。Line of Actionは英語のサービスですが、操作はシンプルで直感的に使えます。
YouTubeでは、日本語で丁寧に解説している絵の描き方チャンネルが多数あります。特定の悩み(顔の描き方・手の描き方など)を検索すると、ピンポイントの解説動画が見つかることが多く、参考書を読むより分かりやすい場合もあります。
模写練習・ポーズ参考に役立つアプリの使い方
模写練習には、Pinterest(画像収集アプリ)でお気に入りのイラストや写真を集めておき、見ながら描くスタイルが取り組みやすいです。ポーズ参考には「Magic Poser」「Design Doll」などの3Dポーズツールを使うと、自分で好きな角度にキャラクターのポーズを動かして参考にできます。
これらのツールは、「描きたいポーズの参考が見つからない」という悩みを解決してくれます。特に手や複雑なポーズの練習に役立ちます。
独学と講座(スクール)どちらが向いているか
独学は自由度が高く費用が安く抑えられる一方、間違った癖が身についても気づきにくいというデメリットがあります。講座やスクールはフィードバックがもらえるため、成長スピードが速い傾向がありますが、費用と時間の確保が必要です。
どちらが向いているかは、目的と状況によって変わります。「趣味として楽しみたい」なら独学+無料動画で十分なことが多く、「仕事として絵を描けるようになりたい」なら講座の活用も検討する価値があります。
初心者向けおすすめ参考書・技法書・ポーズ集
書籍もまだ強力な学習ツールです。以下のような本が初心者から高く評価されています。
- 『やさしい人物画』(A・ルーミス著):人体の描き方の定番書。海外の名著だが日本語版も普及
- 『キャラクターの描き方事典』シリーズ:キャラクターイラストの基礎が分かりやすくまとまっている
- 『デジタルイラストの「塗り」事典』:色塗りに特化した解説書。デジタル入門に適している
- 『ポーズカタログ』シリーズ:多様なポーズ写真が収録されており模写練習に役立つ
参考書を選ぶ際は、「自分が描きたいジャンルに対応しているか」を確認するのが大切です。人物イラストを描きたいのにデッサン専門書を読んでも、最初はピンと来ないことがあります。本屋で実際に中身を確認してから選ぶと失敗が少ないです。
絵を描きたいけど描けない初心者によくある質問
大人になってから絵を始めても上手くなれる?
上手くなれます。前の章でも触れましたが、大人は論理的に学ぶ力があるため、練習の効率化がしやすいです。20代・30代・40代から始めてプロになった方も珍しくありません。
「遅い」と感じる必要はありません。大切なのは、始めることとやめないことの2点だけです。
どのくらいの期間練習すれば上達を実感できる?
毎日15〜30分の練習を続けた場合、1〜2ヶ月で線が安定し、3〜6ヶ月で全体のバランスが整ってくる方が多い印象です。ただしこれはあくまで一般的な傾向であり、練習内容の質や量によって大きく変わります。
「上達を実感できるか」という問いに対しては、過去の絵を残しておくことで客観的に確認できます。感覚で「まだ下手だ」と感じていても、3ヶ月前の絵と見比べると明らかに変化していることが多いです。
才能がないと感じているが絵を続けても意味がある?
意味はあります。才能とは「特定のスキルの習得速度の個人差」に過ぎず、練習を続けることで誰もが到達できる上達ラインは存在します。
絵を描く目的が「プロになること」だけではなく、「楽しみたい」「好きなものを形にしたい」という場合は、才能を気にする必要はまったくありません。自分のために描いている限り、その楽しさに才能の有無は関係ないからです。
スランプに陥ったときはどうすればいい?
スランプの多くは「今の実力と目指しているレベルのギャップを強く意識したとき」に起きます。そのときは、描くことへのプレッシャーを一旦下げることが有効です。
具体的には、お気に入りの作品を観てインプットに集中する・簡単なラフスケッチだけを楽しむ・絵の仲間と話す、といった方法が助けになります。スランプは成長の過程で必ず訪れるもので、抜け出した後に視野が広がることが多いです。
まとめ:絵を描きたいけど描けない初心者が今日から始めるべきこと
「絵を描きたいけど描けない」という感覚は、才能の問題ではなく、始め方と練習の手順を知らないことから来ています。この記事を通じて、その順序と向き合い方が少し見えてきたなら、とても嬉しいです。
まず大切なのは、「描きたい気持ち」をそのまま大切にしながら、一枚目を描いてみることです。下手でいい、崩れていい。最初の一枚を描いた人が、二枚目・三枚目と続けていける人になっていきます。
ツールは何でも構いません。手元にある鉛筆とノートで今すぐ始めることができます。好きなキャラクターをざっくり模写するだけでも、立派なスタートです。
練習の方向性に迷ったときは、「基本線の練習→身近なモチーフのスケッチ→好きな絵の模写→人体の比率を学ぶ→着彩練習→オリジナル作品の完成」というSTEPを思い出してください。このルートを自分のペースで歩んでいくことが、確実に上達への道につながります。
他人と比べず、焦らず、楽しむことを忘れずに。あなたのペースで、描くことの楽しさを見つけていただけると幸いです。

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